【弁護士解説】異母兄弟が死亡したら相続手続はどうなる?
異母兄弟の相続に関するみんなのお悩み
異母兄弟が亡くなったらしいけど、
相続手続きに参加しないといけないの?
異母兄弟と遺産分割が必要らしいけど、相続割合は一緒なのかな?
異母兄弟が死亡したらしいけど、相続に関与したくない。
異母兄弟となる子供がいる場合、遺言書は残した方がいいの?
異母兄弟の相続に関するざっくりした結論
- 異母兄弟が亡くなったらしいけど、相続手続きに参加しないといけないのでしょうか?
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第一順位の相続人、第二順位の相続人がいないのであれば、第三順位の相続人として、相続手続きに参加する必要があります。もっとも、相続放棄をすれば、相続手続への関与は不要となります。
- 異母兄弟と遺産分割が必要らしいけど、相続割合は同じでしょうか?
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異なります。
父母の一方を同じくする兄弟姉妹と、父母の双方を同じくする兄弟姉妹では、相続割合が異なります。 - 異母兄弟が死亡したらしいけど、相続に関与したくありません。どうすればよいでしょうか。
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相続放棄をすれば、相続手続きに関与する必要はありません。
- 異母兄弟となる子供がいる場合、遺言書は残した方がよいのでしょうか。
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遺言書を残すことで相続後のトラブルを防ぐことができます。
以下、異母兄弟の相続に関するそれぞれのお悩みに関して、より詳しく解説をさせていただきます。
お悩み①異母兄弟の相続権
そもそも異母兄弟に相続権は認められるのでしょうか。
よく疑問を持たれる方が多い点ですが、
異母兄弟であっても、法定相続人になり得ます。
異母兄弟の相続がよく問題となる事例を基に説明させて頂きます。
【事例A】前妻との間に子二人を有し、かつ、後妻との間にも子二人を有する父親が死亡したというケース。
誰が相続人になるのか。
上記事例の場合、前妻は、離婚しており配偶者ではないため、法定相続人には当たりませんが、後妻及び子供4名は、法定相続人になります。
相続割合は、前妻の子供らと後妻(現在の配偶者)の子供らでことなるのでしょうか。
結論としては、異なります。
この点については、お悩み②で解説をさせて頂きます。
続いて、異母兄弟の一人が被相続人である場合を考えてみましょう。
例えば、以下のような事例です。
【事例B】父親が同じ異母兄弟4名がいます。父親とそれぞれの母親は既に亡くなっており、兄弟たちは全員独身です。前妻の兄弟が亡くなった場合、相続人は誰になるのでしょうか。
この場合、被相続人と後妻の子らは面識がないことも多いと思います。それでも、法定相続人になるのですか。
はい、面識がなくとも、上記の相続関係図のとおり、異母兄弟は法定相続人になります。ひとつずつ説明をします。
まず、【事例B】では、被相続人は独身であり、配偶者はいないため、配偶者相続人はいません。次に、血族相続人についてですが、第一順位の子はおらず、第二順位の親も既に亡くなっています。したがって、第三順位の兄弟姉妹が法定相続人となります。
ここで、母親が同じ兄弟姉妹が相続人であることは明確です。問題は、母親が異なる兄弟姉妹が相続人になるかどうかですが、民法では母親が異なる場合でも、相続人として認められています。
このことは、以下の条文が示しています。
民法900条4号
子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
民法900条は、法定相続分に関する規定ですが、「父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹」と書かれているように、父母の一方のみを同じくする(つまり、父母の一方が異なる)兄弟姉妹であっても、法定相続人であることを前提としています。
事例A及びBをとおして、異母兄弟が相続人になることがよく分かりました!
異母兄弟の場合、相続割合に関しても注意が必要です。
この点について、お悩み②で説明させて頂きます。
お悩み②異母兄弟の法定相続分(相続割合)
続いて、異母兄弟の相続割合について説明します。先ほどと同じ事例を用いて考えていきましょう。
【事例A】前妻との間に子二人を有し、かつ、後妻との間にも子二人を有する父親が死亡したというケース
事例Aの場合、後妻(死亡時の配偶者)と異母兄弟4名が法定相続人になることはお悩み①で解説したとおりです。
そして、配偶者と子が法定相続人になる場合、法定相続分は、配偶者が2分の1、子が2分の1となります(民法900条1号)
民法900条1号
子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
次に、子らの法定相続分に関して。結論としては、前妻の子と後妻の子で相続割合は同じです。
900条4号は、血族相続人が複数いる場合の相続割合に関して規定していますが、前妻の子か後妻の子かによって、区別をしていません。
したがって、900条4号が規定するとおり「各自の相続分は、相等しい」ことになります。
なお、事例Aの場合、異母兄弟らは、いずれも「子の資格で相続する」場合のため、「兄弟姉妹の資格で相続する」場合に妥当する900条4号但書の適用はありません。
事例Aの場合については分かりました。
事例Bの場合は、どうなるのでしょうか?
事例Bの場合、注意が必要です。
【事例B】父親が同じ異母兄弟4名がいます。父親とそれぞれの母親は既に亡くなっており、兄弟たちは全員独身です。前妻の兄弟が亡くなったというケース。
事例Bの場合、異母兄弟3名の全員が法定相続人になることはお悩み①の説明でわかりました。
相続割合はどうなるのでしょうか。
ひとつずつ解説していきますね。
まず、この被相続人の場合、配偶者はおらず、子もおらず、親は他界しています。したがって、相続人になるのは、第三順位の兄弟姉妹です。そして、異母兄弟であっても、法定相続人になる点は、お悩み①で説明したとおりです。
そして、肝心の相続割合ですが、結論としては、以下のとおりです。
父及び母を同じくする兄弟1名:2分の1
父のみを同じくする兄弟2名:それぞれ4分の1
異母兄弟が「兄弟姉妹の資格で相続する」場合には、相続割合がことなることがよく分かりました。
お悩み③異母兄弟の相続に関与したくない
異母兄弟が亡くなったらしいのですが、面識もなく相続に関与したくありません。どうすればいいですか。
相続放棄をすれば、初めから相続人でなかったことになりますので、相続に関わる必要がありません。
先ほどの事例Bを基に整理してみましょう。
事例Bでは、相続人Bおよび相続人Cは、被相続人と面識がなかったり、疎遠であったりすることが多いと考えられます。そのような場合、相続人Bや相続人Cが、異母兄弟である被相続人の相続に関わりたくないと感じることがあります。 この場合、相続人Bや相続人Cは、相続放棄をすることで、被相続人の相続に関与しない選択ができます。
相続放棄の方法に関しては、以下の記事を参考にしてください。
お悩み④異母兄弟となる子供がいる場合、遺言書は残した方がよいのでしょうか。
続いて、遺言者側の悩みについて解説していきます。
以下の家族関係を前提とした場合、遺言書を残した方がよいでしょうか。
BCのグループとADEのグループで対立しそうな感じがします。
そうですね。一般的な傾向としては、遺言書がないと揉める可能性が相応にあると思います。
生前のうちに遺言書を書いて残しておき、将来の紛争を予防するとよいでしょう。
この場合、遺言者は、どのような点に気を付けるべきでしょうか。
何点かありますが、特に重要な点は、①すべての推定相続人に遺留分が認められるためその点を念頭に遺言書を作成すること、②遺言執行者を指定することです。
まず、①についですが、前妻の子であろうが、後妻の子であろうが、遺留分は認められます。したがって、遺留分を無視した遺言書を残すと、相続後に遺留分侵害額請求という紛争に至る可能性があります。そのような遺言を残したい場合であっても、付言事項で想いを残しておくなど工夫が必要でしょう。
②については、どうでしょうか
一般的な傾向として、前妻の子と後妻の子は、お互いに関わりたくないと思うことが多いのではないでしょうか。そうであれば、遺産分割協議や遺言執行の際に、お互いに関与しなくて済むように、弁護士等の専門家を遺言執行者として指定しておくとよいでしょう。
遺言書作成の料金表
当事務所の遺言書作成の料金表は次のとおりです!
ご依頼の前に、個別の事情をお伺いし、事前に見積書を提示させていただきます!
着手金(税別) | 報酬金(税別) | |
自筆証書遺言 | 5万円~ | 5万円~ |
公正証書遺言 | 5万円~ | 5万円~ |
遺言執行者の選任を受ける場合には、別途遺言執行者の報酬金が発生します。
遺言執行報酬は、遺言の執行の完了後に、相続財産からお支払いを受けることになりますが、ご希望の場合には、見積書を提示させて頂きます。
遺言書作成に関するよくある質問
- 自筆証書遺言と公正証書遺言の両方を作成することはできますか?
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両方の作成も可能です。
もっとも、法的には、後に作成された遺言書が優先します。
例えば、公正証書遺言を作成する時間的余裕がないケースで、取り急ぎ自筆証書遺言を作成することがあります。ご希望の場合は、ご相談ください。
- 自筆証書遺言の場合は、相続後に検認手続が必要なのですか
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自筆証書遺言の場合、原則として、相続後に家庭裁判所において検認手続をする必要があります。
- 公証役場はどこでもいいのでしょうか。
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どこでも大丈夫です。
当事務所が遺言書作成のご依頼を受ける場合には、遺言者様のご都合に合わせて、公証役場を選ばせて頂いております。ご希望の公証役場があれば、お伝えください。
- 遺言書を書き直すことはできますか。
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可能です。
過去に遺言書を作成したけども、事情が変わり、書き直しをしたい方も是非、ご相談ください。
- 遺言執行者は誰に指定したらよいですか?
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ケースバイケースです。
専門家を指定すべき事案もあれば、相続人を指定すべき場合もあります。ご相談を頂ければ、誰を遺言執行者に指定するべきかを一緒に検討させていただきます。
- 施設に入所していますが依頼は可能ですか?
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可能です。
もっとも、弁護士の出張費用などの日当や公証人の出張費用がかかることがございます。まずは、ご相談ください。
- 対応地域はどこになりますか?
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遺言書作成については、大阪府内に居住する方に限らせて頂いております。