【弁護士解説】エンディングノートの書き方と注意点
エンディングノートに関するみんなのお悩み
エンディングノートに何を書けばよいのか分からない。
エンディングノートを書き始めたけど、途中で手が止まる。
エンディングノートについて、家族にどう伝えたら良いか分からない。
エンディングノートって、法的には意味がないの?
エンディングノートに関するざっくりした結論
- エンディングノートに何を書けばよいのか分からない
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書かなければならないことが決まっているわけではありません。相続人の立場を考えて、どのような情報を伝え残すべきかを考えて書きましょう。不安な方は、エンディングノートの雛形に沿って、書くとよいでしょう。
- エンディングノートを書き始めたけれど途中で手が止まる
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可能な範囲で書き残せば問題ありません。書きたくないことを無理に書き残す必要はありません。
- エンディングノートについて、家族にどう伝えたら良いか分からない
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エンディングノートを基に、家族(相続人)とコミュニケーションを取ってみましょう。貴重品と合わせて保管をしておく、又は、信頼できる家族に預けておくのもよいでしょう。
- エンディングノートに法的効果はないのでしょうか。
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基本的に法的効果はありません。あくまでもエンディングノートは、遺言書を補充するもの。エンディングノートを作成するのであれば、遺言書も合わせて作成をするようにしましょう。
以下、異母兄弟の相続に関するそれぞれのお悩みに関して、より詳しく解説をさせていただきます。
エンディングノートの書き方と注意点
最近よく聞く“エンディングノート”について教えてほしいです。
映画にもなっていて気にはなっているんですけど、どうやって書けばいいのか全然わからなくて…。
はい、エンディングノートは近年注目されている終活の一環です。簡単に言えば、自分が亡くなった後や、判断能力がなくなった時に、家族や周囲の人が困らないように、情報や希望をまとめておくノートです。
実は2011年に公開された映画『エンディングノート』が話題になって、さらにこのノートの存在が広く知られるようになりました。
「なるほど、でもエンディングノートって遺言書みたいなものですか?遺産分割のことも書いておくんでしょうか?
「エンディングノートと遺言書は別物です。基本的に、エンディングノートには法的な効力はないんです。遺言書は財産分割に関する法的な手続きで、きちんと法律に従って作成しなければならない書類です。
対して、エンディングノートはもっと自由なものです。日常の想いや家族への感謝、終末医療や葬儀についての希望などを記録するのが主な目的です。
法的効力がないということは、書いても守られない可能性があるんですか?
「厳密にはそうですね。財産分配に関する希望は書いておいても、それを確実に実現するためには、法的に有効な遺言書を作成する必要があります。
ただ、エンディングノートに書かれている希望は、家族や周囲の人がその意思を尊重しやすくする役割を果たすことが多いですよ。
じゃあ、具体的にどんなことを書けばいいんでしょうか?
エンディングノートに書く内容は自由ですが、一般的におすすめするのは以下のような項目です
- 本人の基本情報
- 財産や資産の情報
- 医療・介護に関する希望
- 葬儀・埋葬に関する希望
- ペットに関する情報
- 家族・友人へのメッセージ
- 過去の記録・これからの計画
本人の基本情報
「まずは自分の基本情報です。氏名、生年月日、現住所、本籍地、連絡先など、基本的な情報を書いておくと、家族が手続きなどで助かります。
特に本籍地は、遺族が忘れてしまうことが多いので、きちんと書いておくと安心ですね。もっとも、亡くなった後に調べることも可能です。
本籍地って家族に聞かれてもすぐに答えられないかもしれないので、書いておいたほうがいいですね。
財産や資産の情報
「次に、財産や資産に関する情報です。預貯金、不動産、生命保険、有価証券、負債などをまとめておくと、遺族が財産の整理をスムーズに進められます。ただし、暗証番号は書かないで、保管場所だけを記しておくことが大事です。
「暗証番号は危ないですね。保管場所だけにしておけば安全ですね。
医療・介護に関する希望
また、医療や介護に関する希望も重要です。延命治療を希望するかどうか、臓器提供の意思、介護が必要になった場合の要望などを記しておくと、家族があなたの意向を尊重しやすくなります。
延命治療については難しい決断ですね。でも家族に伝えておくことは大事かも…。
葬儀・埋葬に関する希望
葬儀の規模や形式、誰を呼んでほしいか、納骨場所など、葬儀や埋葬に関する希望も書いておくと、家族が悩まずに済みます。例えば『家族葬を希望する』とか、『この写真を遺影に使ってほしい』ということも書いておくと良いでしょう。
葬儀のことって、実際にはなかなか話しにくいですけど、ノートに書いておけばいいですね。
ペットに関する情報
「もしペットを飼っているなら、その情報も忘れずに。ペットの名前や年齢、かかりつけの病院、好きな食べ物なんかを書いておくと、家族が世話をしやすくなります。
そうですね。ペットのことも忘れずに書いておきます。
家族・友人へのメッセージ
「あとは、普段なかなか伝えられない家族や友人への感謝のメッセージもいいですね。写真を貼って思い出と一緒に残すと、家族にとって大切なメモリアルになることも多いです。
家族へのメッセージ…そういったものを書けるのは素敵ですね。
過去の記録・これからの計画
「そして、これまでの人生の振り返りや、これからの目標も書いておけます。例えば『一度は世界一周旅行に行ってみたい』とか、『家族で〇〇海岸にもう一度行きたい』といった計画です。これがあると、終活がより前向きに進められます。
前向きにこれからの計画を書くのもいいですね。終活というと悲しいイメージがありましたけど、楽しみを込めて書けるんですね。
エンディングノートの書き方のコツ
「エンディングノートを書く際のポイントとしては、まずは書けるところから書き始めること。最初から全てを埋めようとすると、プレッシャーになってしまいます。また、空欄があっても気にせずに進めて大丈夫です。空いている部分は後から埋めていけばいいですし、定期的に見直しもしていくと良いですね。
全部完璧にしなくてもいいんですね。少しずつ書いていけばいいなら、気が楽になります。
そうです。そして、できれば家族と相談しながら書くのが理想的です。そうすれば家族の意見を取り入れたり、家族間でのトラブルを防ぐことができます。
エンディングノート作成後の管理
書き終えた後は、どうやって管理すればいいですか?
作成後は保管場所が重要です。家族に存在を伝えておかないと、せっかく書いても見つからないと意味がありません。また、内容は定期的に見直し、変更や修正を加えていくことも大事です。
なるほど。作成した後もちゃんと管理して、家族に伝えることが必要ですね。
特に信頼できる家族であれば、預けておいてもよいでしょう。
エンディングノートの書き方 まとめ
「エンディングノートは、法的効力はありませんが、家族に自分の意思を伝え、スムーズな手続きをサポートする大切なツールです。特に遺言書と併せて活用することで、家族間のトラブルを防ぎ、相続を円滑に進めることができます。少しずつでも書き始めることで、終活の第一歩を踏み出せますよ。
ありがとうございます!これで少しずつ書き始められそうです。家族に伝えたいこと、今のうちにしっかり残しておきます
最後に大切な点をもう一度。エンディングノートには基本的に法的拘束力はありません。残された相続人が円満に相続手続きを行うことができように、「遺言書」の作成も検討されるべきです。
遺言書は、法的な要件や相続時のトラブルを避けるための工夫が必要となります。
遺言書の作成を検討されている方は、是非、弊所までご相談ください。
遺言書作成に関するよくある質問
- 自筆証書遺言と公正証書遺言の両方を作成することはできますか?
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両方の作成も可能です。
もっとも、法的には、後に作成された遺言書が優先します。
例えば、公正証書遺言を作成する時間的余裕がないケースで、取り急ぎ自筆証書遺言を作成することがあります。ご希望の場合は、ご相談ください。
- 自筆証書遺言の場合は、相続後に検認手続が必要なのですか
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自筆証書遺言の場合、原則として、相続後に家庭裁判所において検認手続をする必要があります。
- 公証役場はどこでもいいのでしょうか。
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どこでも大丈夫です。
当事務所が遺言書作成のご依頼を受ける場合には、遺言者様のご都合に合わせて、公証役場を選ばせて頂いております。ご希望の公証役場があれば、お伝えください。
- 遺言書を書き直すことはできますか。
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可能です。
過去に遺言書を作成したけども、事情が変わり、書き直しをしたい方も是非、ご相談ください。
- 遺言執行者は誰に指定したらよいですか?
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ケースバイケースです。
専門家を指定すべき事案もあれば、相続人を指定すべき場合もあります。ご相談を頂ければ、誰を遺言執行者に指定するべきかを一緒に検討させていただきます。
- 施設に入所していますが依頼は可能ですか?
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可能です。
もっとも、弁護士の出張費用などの日当や公証人の出張費用がかかることがございます。まずは、ご相談ください。
- 対応地域はどこになりますか?
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遺言書作成については、大阪府内に居住する方に限らせて頂いております。