【中央区・船場】社長が急逝!自社ビル(店舗兼自宅)と自社株が兄弟に分散するのを防ぐ遺産分割のポイント

弁護士 山村 真吾
Leapal法律事務所 代表
法律事務所名のLeapal(リーパル)は、「Legal」(法律)、「Leap」(飛躍)、「pal」(仲間、共に)の造語であり、「法律を通じて、困難を依頼者と共に乗り越えたい」という想いを込めています。弊所は、「中小企業の紛争対応」「遺言相続」「個人賠償法務」の3分野に注力しています。

船場エリアには、何代にもわたって商いを営んできた老舗企業が数多くあります。「自社ビルの1階は店舗、上階は自宅」という形で、事業と暮らしが一体になっているケースも珍しくありません。

しかし、こうした会社のオーナー社長が遺言を残さないまま急逝すると、思わぬ形で会社の存続そのものが揺らぐことがあります。今回は、自社ビルと自社株式が相続人(兄弟姉妹)の間で分散してしまうリスクと、それを防ぐための遺産分割の鉄則について解説します。

よくある相談ケース

船場で3代続く卸売業を営むA社長が、遺言を残さず急逝しました。相続人は、長らく専務として経営を手伝ってきた長男と、会社経営には関わっていない次男・長女の3人です。

A社長の主な遺産は、①店舗兼自宅として使っている自社ビル、②A社の自社株式(発行済株式のほぼ全部)、③預貯金でした。法定相続分で分けるとすれば、自社ビルも自社株式も、きょうだい3人がそれぞれ3分の1ずつ共有・保有することになります。

長男は「自分が代表を継いで経営を続けたい」と考えていますが、次男・長女は「実家(自社ビル)も株式も、自分の取り分に見合う現金が欲しい」と主張し、話し合いは平行線になってしまいました。

なぜ「共有・分散」が危険なのか

① 自社株式が分散すると、会社の意思決定が止まる

株主総会の特別決議(役員の解任、定款変更、事業譲渡など)には、議決権の3分の2以上の賛成が必要です。自社株式がきょうだい3人にほぼ均等に分散すると、経営に関わらない相続人の同意が得られない限り、重要な意思決定ができなくなるおそれがあります。最悪の場合、後継者が実質的に会社を動かせない「所有と経営のねじれ」状態に陥ります。

② 自社ビルが共有になると、事業継続に支障が出る

店舗兼自宅である自社ビルが共有名義になると、法律上は共有者全員の同意がなければ売却や大規模な変更ができません。また、経営に関わらない相続人から「賃料相当額を払ってほしい」「持分を買い取ってほしい」と請求される可能性もあり、事業用の資金繰りを圧迫しかねません。

③ 遺産分割協議が長引くほど、会社の信用に関わる

取引先や金融機関は、代表者の交代や株主構成の混乱を敏感に見ています。相続争いが長期化すれば、取引継続や融資審査にも悪影響が及ぶことがあります。

分散を防ぐための遺産分割の鉄則

鉄則1:事業用資産と個人資産を分けて考える

自社ビルや自社株式のような「事業を続けるために不可欠な資産」と、預貯金など「分けやすい資産」を区別し、後継者には事業用資産を集中させ、他の相続人には現金や代償金で調整するという発想が出発点になります。

鉄則2:後継者に代償金を準備させる(代償分割)

自社ビル・自社株式を後継者が単独で取得する代わりに、他の相続人へ代償金を支払う「代償分割」は、事業承継の場面で最もよく使われる手法です。ただし、代償金の原資(生命保険の活用や、会社からの役員退職金の設計など)は生前から準備しておく必要があります。

鉄則3:公正証書遺言で「誰に何を継がせるか」を明確にしておく

最大の予防策は、社長自身が元気なうちに公正証書遺言を作成しておくことです。自社ビルと自社株式を後継者に承継させる旨を明記しておけば、遺産分割協議そのものを回避でき、争いのリスクを大きく減らせます。

鉄則4:遺留分への配慮を忘れない

後継者に資産を集中させる遺言を作成しても、他の相続人には「遺留分」という最低限の取り分が法律上保障されています。遺留分を無視した遺言は、後になって「遺留分侵害額請求」を招き、結局は後継者が多額の金銭を支払う羽目になることもあります。生前から遺留分に配慮した設計(生命保険の活用、生前贈与の調整など)をしておくことが重要です。

鉄則5:種類株式や属人的株式など会社法の制度も検討する

配当優先株式や議決権制限株式といった種類株式、非公開会社に認められる属人的株式の制度を使えば、後継者以外の相続人にも財産的な価値を分配しつつ、議決権(経営の主導権)は後継者に集中させるという設計も可能です。

まとめ

自社ビルと自社株式が相続人の間で分散してしまうと、遺産分割の話し合いが長引くだけでなく、会社の経営そのものが立ち行かなくなるリスクがあります。船場のように事業と暮らしが一体になっている会社ほど、早めの対策が欠かせません。

「うちの場合はどう備えればいいのか」「もう相続が発生してしまい、兄弟間で話がまとまらない」という方は、お一人で悩まず、事業承継・相続案件に力を入れる弁護士へご相談ください。


本コラムは一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的助言ではありません。具体的な事案については弁護士にご相談ください。

「何が最善か」
弁護士と一緒に検討しませんか?

弁護士 山村真吾

当事務所は「中小企業紛争」「遺言相続」「個人賠償法務」の問題に精力的に取り組んでおります。

あなたの状況について「何が最善か」を
一緒に検討してみませんか?

「弁護士への相談は高額の費用が発生する」と不安な方もいらっしゃるかもしれません。

当事務所は、注力分野の法律相談に関し、初回60分無料相談を実施しています。また、ご依頼を検討される方には、事前に見積書をご提示しておりますので、安心してご依頼いただけます。

是非、お気軽にご相談ください。

初回相談60分無料相談の対象分野

中小企業間の紛争(取引先紛争、労使紛争、顧客トラブル等
遺言相続に関するご相談(遺産分割、遺留分、遺言書作成等)
個人賠償法務(交通事故、施設事故等)
・氏の変更のうち離婚後に旧姓に戻す方法に関するご相談
※弊所の業務状況等に鑑み、ご相談自体をお受けできないことがございますが、まずはお気軽に無料相談の対象か否かをお問い合わせ頂けますと幸いです。

STEP
相談のご予約

まず、ご相談のご予約をお願い致します。
弊所では、個人のお客様とのご連絡をより迅速で気軽に行えるよう、連絡ツールとしてLINEを取り入れています。

STEP
初回60分無料法律相談

初回相談の日程調整をさせて頂きます。
ご希望に応じて、対面又はWEB会議の方法でご相談をお受けさせて頂きます。初回相談の時間を1時間と比較的長めに設定し、依頼者の人となりや、紛争に至った経緯、相手方に対する率直な思いなどを一通り話してもらうようにしています。

STEP
見積書のご提示

弊所では、初回相談を実施後、相談者がご希望の場合には、見積書を作成しています。

STEP
委任契約書の締結

弊所の対応方針やご提示した見積額にご納得いただけた場合に、委任契約書を締結させて頂きます

よくある質問

法律相談は無料ですか?

初回60分は無料とさせて頂いております。
弁護士への事件依頼ではなく、継続的な相談、サポートをご希望の方には継続相談プランをご提案することも可能です。

営業時間外でも相談をすることはできますか?

事前のご予約があれば、営業時間外であってもご相談をお受けしています。

無料相談実施後、依頼に至らなかった場合でも費用はかかりませんか?

無料法律相談後、原則として見積書をご提示させて頂きますが、事件の依頼に至らなかった場合でも、費用は発生しません。

相談時に持参した方がよい資料はありますか?

ご準備頂きたい資料については、初回相談時にご案内をさせて頂きます。

TEL:06-7777-3890
営業時間:平日午前10時~午後5時

この記事を書いた人

法律事務所名のLeapal(リーパル)は、「Legal」(法律)、「Leap」(飛躍)、「pal」(仲間、共に)の造語であり、「法律を通じて、困難を依頼者と共に乗り越えたい」という想いを込めています。弊所は、「中小企業の紛争対応」「遺言相続」「個人賠償法務」の3分野に注力しています。

TEL:06-7777-3890
営業時間:平日午前10時~午後5時

〒530-0047 大阪市北区西天満三丁目5番10号
オフィスポート大阪 511
代表弁護士 山村真吾
大阪弁護士会 登録番号61144
電話:06-7777-3890 FAX:06-7635-8795 

目次