【大阪市福島区・此花区】タワーマンション相続|2024年の評価額改正で遺産分割のトラブルが増える理由【弁護士解説】

弁護士 山村 真吾
Leapal法律事務所 代表
法律事務所名のLeapal(リーパル)は、「Legal」(法律)、「Leap」(飛躍)、「pal」(仲間、共に)の造語であり、「法律を通じて、困難を依頼者と共に乗り越えたい」という想いを込めています。弊所は、「中小企業の紛争対応」「遺言相続」「個人賠償法務」の3分野に注力しています。

大阪市福島区・此花区は、JR環状線沿線や此花区の湾岸エリアを中心に、近年タワーマンション(超高層マンション)の供給が進んだエリアです。分譲から10年以上が経過した物件も増え、区分所有者であった親御さんが亡くなり、そのタワーマンションを相続するケースが今後さらに増えていくと見込まれます。

タワーマンションの相続では、「誰か一人がマンションを引き継ぎ、他の相続人にはその分の金銭を支払う」という代償分割が選ばれることが多いのですが、この代償金の金額をめぐって相続人同士が対立するケースを、当事務所でも数多く見てきました。

そして、2024年1月から適用されている相続税の評価ルール改正(いわゆる「マンション評価の適正化」)により、この対立がこれまで以上に先鋭化しやすくなっています。

本コラムでは、大阪市福島区・此花区でタワーマンションを相続する可能性がある方に向けて、改正の内容と、遺産分割で注意すべきポイントを弁護士の立場から解説します。

目次

2024年1月からのマンション評価ルール改正の概要

相続税を計算する際、マンションの一室(区分所有権)の評価額は、これまで実際の売買価格(時価)よりもかなり低く算定される傾向がありました。特に高層階になるほど市場での人気が高く時価が上がる一方、相続税評価額の計算方法ではその点が十分に反映されず、時価と評価額の差(乖離)が大きくなりやすいという問題が指摘されていました。

こうした状況を受け、国税庁は令和6年(2024年)1月1日以後に相続・遺贈・贈与により取得した居住用の区分所有財産(いわゆる分譲マンションの一室)について、新しい評価方法を導入しました。築年数・総階数・所在階・敷地の持分の大きさという4つの要素をもとに、時価との乖離の程度に応じて評価額を補正する仕組みで、評価額が時価の6割に届いていない場合は、6割程度まで評価額を引き上げるという内容です。

この結果、特に高層階の住戸ほど、改正前に比べて相続税評価額が大きく上昇するケースが多くなっています。なお、2階建て以下の低層マンションや、区分所有登記のない一棟所有の賃貸マンション、二世帯住宅に該当するようなケースは、この改正の対象外とされています。

遺産分割における不動産の評価は「時価」が原則という誤解されやすいポイント

ここで、相続の相談の中で非常によく誤解されているポイントがあります。それは、「相続税評価額が上がったのだから、遺産分割もその金額を基準に行えばよい」という考え方です。

しかし、相続税評価額は、あくまで相続税を計算するための基準にすぎません。遺産分割協議・調停において不動産をいくらと評価するかについては、法律上のルールが定められているわけではなく、原則として実勢価格(時価・市場で売却した場合に得られるであろう価格)を基準に、相続人同士の話し合いで決めることになります。

相続人全員が合意すれば相続税評価額や固定資産税評価額を基準にすることも可能ですが、合意ができない場合、家庭裁判所の調停・審判では実勢価格が基準とされ、決着がつかなければ裁判所が選任した不動産鑑定士による鑑定が行われることもあります。

つまり、「相続税の世界の評価額」と「遺産分割の世界の評価額」は別物であるという理解が出発点になります。

なぜ改正によって代償金トラブルが増えやすくなるのか

タワーマンションは、この「時価」と「相続税評価額」の乖離がもともと大きい資産です。

今回の改正で相続税評価額は以前より時価に近づいたとはいえ、依然として時価の6割程度にとどまるケースが一般的であり、乖離そのものが解消されたわけではありません。

そのため、代償分割の場面では、次のような対立が起きやすくなります。

  • マンションを引き継ぐ相続人:「相続税の申告でもこの評価額(改正後の相続税評価額)を使っているのだから、代償金もこの金額を基準にすべきだ」と主張する
  • マンションを引き継がない相続人:「相続税評価額はあくまで税務上の金額であり、実際に売れば評価額よりずっと高い。もっと高い代償金を払ってほしい」と主張する

改正によって相続税評価額そのものが以前より上がったことで、「評価額を基準にすれば十分に公平では」という主張に一定の説得力があるように見えてしまい、実勢価格を主張する側との溝が埋まりにくくなっているのが実情です。

特に、高層階の住戸を持つご家庭ほど、この評価額と時価の差が大きく残るため、代償金の金額差も大きくなりがちです。

揉めないために、相続開始前・開始後にできること

生前対策としてできること

  • 保有しているタワーマンションについて、現時点での実勢価格(不動産会社の査定額)を把握しておく
  • 特定の相続人に住戸を承継させたい場合は、遺言書でその意向と代償金の考え方を明確にしておく
  • 代償金を支払う予定の相続人が、実際に支払い可能な資力を持っているかを確認しておく

相続開始後、遺産分割の話し合いの段階でできること

  • 相続税申告用の評価額と、遺産分割協議で使う評価額は別のものであることを、相続人全員で早い段階で共有する
  • 複数の不動産会社から査定書を取得し、時価の目安について共通認識を持つ
  • 話し合いで評価額の合意ができない場合は、早めに弁護士に相談し、交渉・調停での対応方針を検討する

まとめ

福島区・此花区にタワーマンションをお持ちのご家庭では、2024年の評価改正によって相続税の申告上の評価額が上がる一方、遺産分割の代償金は本来「時価」で考えるべきものであるというギャップが、これまで以上にトラブルの火種になりやすくなっています。

「相続税の評価額と遺産分割の評価額は違う」という点を押さえたうえで、早めに実勢価格を把握し、必要に応じて弁護士のサポートを受けることが、円満な遺産分割への近道です。

タワーマンションの相続・遺産分割でお悩みの方は、当事務所の公式LINEからお気軽にご相談ください。


※本コラムは一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の税務計算については税理士への確認をお勧めします。具体的な遺産分割の方針については、事案の詳細をお伺いした上で弁護士がご案内いたします。

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