- 遺産分割調停の申立先は、原則として「相手方のうちの一人の住所地の家庭裁判所」または「当事者が合意で定める家庭裁判所」となります(裁判所公表)。
- 大阪府内の家庭裁判所は、大阪家庭裁判所(本庁)/堺支部/岸和田支部の3か所に分かれており、相手方の住所地によって申立先が変わります。
- 申立てに必要な費用は、被相続人1人につき収入印紙1,200円分+連絡用の郵便切手です。
- 相続人が複数の府県に分散している場合など、管轄を誤ると受理後に他庁へ移送され、解決までの期間が長期化するおそれがあります。
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1.遺産分割調停とは
被相続人が亡くなり、その遺産の分割について相続人の間で話合いがつかない場合、家庭裁判所の遺産分割調停または審判の手続を利用することができます。調停手続を利用する場合は「遺産分割調停事件」として申し立てることになり、相続人のうちの1人もしくは何人かが他の相続人全員を相手方として申し立てる形式をとります。
調停手続では、当事者双方から事情を聴き、必要に応じて資料等の提出を求め、遺産について鑑定を行うなどして事情を把握したうえで、各当事者の希望を踏まえた解決案の提示や助言が行われ、合意による解決を目指して話合いが進められます。
話合いがまとまらず調停が不成立になった場合には自動的に審判手続が開始され、裁判官が、遺産に属する物又は権利の種類及び性質その他一切の事情を考慮して審判を行うことになります(裁判所公表)。
2.遺産分割調停の「管轄」の基本ルール
2-1.申立先(管轄裁判所)
裁判所が公表している遺産分割調停の申立先は、以下のとおりです。
相手方のうちの一人の住所地の家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所
ここで注意していただきたい点は次の3つです。
① 基準となるのは「被相続人(亡くなった方)の最後の住所地」ではなく「相手方の住所地」
遺産分割審判は「相続開始地」を管轄基準とします(家事事件手続法191条1項)が、遺産分割”調停”では相手方の住所地が基準となります。この違いは実務でも混同されやすい点です。
② 相手方が複数いる場合はそのうち「1人」の住所地で足りる
相続人が全国に散らばっているケースでも、相手方のうち1人が大阪府内に住んでいれば、大阪府内の家庭裁判所に申し立てることができます。
③ 当事者間で合意すれば任意の家庭裁判所を選べる(合意管轄)
相続人全員で合意すれば、たとえば遠方に住む相手方がいても大阪の家庭裁判所を管轄裁判所とすることが可能です。合意は書面で明確に残しておくことが重要です。
2-2.申立人(申立てができる人)
遺産分割調停の申立人となれるのは以下の方です。
- 共同相続人
- 包括受遺者
- 相続分譲受人
3.大阪府内の家庭裁判所と管轄区域
大阪府内には、家庭裁判所の本庁および2支部の合計3か所設置されています。
相手方(他の相続人)の住所地が大阪府内のどの市町村にあるかによって、申立先が下記のとおり変わります。
3-1.大阪家庭裁判所(本庁)
主な管轄区域:堺支部・岸和田支部の管轄に属さない大阪府内の市町村(大阪市、豊中市、吹田市、摂津市、高槻市、茨木市、三島郡(島本町)、東大阪市、八尾市、枚方市、守口市、寝屋川市、大東市、門真市、四條畷市、交野市、池田市、箕面市、豊能郡(豊能町・能勢町)等)
上記のエリアに相手方が居住している場合は、本庁が管轄となります。
3-2.大阪家庭裁判所 堺支部
管轄区域(裁判所公表):堺市/高石市/大阪狭山市/富田林市/河内長野市/南河内郡(河南町・太子町・千早赤阪村)/羽曳野市/松原市/柏原市/藤井寺市
南河内エリア・南大阪の一部に相手方が居住している場合は、堺支部が管轄となります。
3-3.大阪家庭裁判所 岸和田支部
管轄区域(裁判所公表):岸和田市/泉大津市/貝塚市/和泉市/泉北郡(忠岡町)/泉佐野市/泉南市/阪南市/泉南郡(熊取町・田尻町・岬町)
泉州エリア全域に相手方が居住している場合は、岸和田支部が管轄となります。
4.ケース別・大阪ではどの裁判所に申し立てるか
実際のご相談で多いパターンを整理いたします。「相手方(他の相続人)の住所地」がどこかを起点に判断するのがポイントです。
ケース① 相手方が大阪市内に住んでいる
→ 大阪家庭裁判所(本庁)に申し立てます。申立人がどこに住んでいるかは問いません。
ケース② 相手方が堺市に住んでいる
→ 大阪家庭裁判所 堺支部に申し立てます。申立人が大阪市内の方であっても、堺支部への申立てとなります。
ケース③ 相手方が岸和田市・泉佐野市など泉州に住んでいる
→ 大阪家庭裁判所 岸和田支部に申し立てます。
ケース④ 相手方が複数おり、大阪市内と堺市に分かれている
→ 本庁と堺支部の双方が管轄となるため、申立人はいずれかを選択できます。実務上は資料収集や出頭の便宜、既に係属している関連事件の有無等を考慮して選択します。
ケース⑤ 相手方が東京と大阪にそれぞれ住んでいる
→ 東京家庭裁判所と大阪家庭裁判所(本庁または該当支部)のいずれにも申し立てが可能です。どちらを選択するかは、当事者数、代理人選任の可否、遺産所在地との近接性などを考慮して判断します。
ケース⑥ 全員が合意する場合
→ 合意管轄により、たとえ相手方全員が府外在住であっても、大阪家庭裁判所本庁に申し立てることができます。合意は書面で明示的に残すことが望ましく、当事務所でも合意書のドラフトからサポートしています。
5.申立てに必要な費用(裁判所公表)
裁判所公表による申立費用は以下のとおりです。
- 被相続人1人につき収入印紙1,200円分
- 連絡用の郵便切手(各家庭裁判所の指定額。大阪家庭裁判所本庁・堺支部・岸和田支部それぞれで異なる場合があるため、申立て直前に該当庁のウェブサイトの「家庭裁判所」ボタンから最新額を確認してください)
なお、郵便料は保管金として電子納付することも可能です(インターネットバンキング・ATMからの納付に対応)。従来どおり郵便切手による納付も可能です。
6.申立てに必要な書類(裁判所公表)
6-1.申立書等
- 申立書1通およびその写し(相手方の人数分)
- 事情説明書(遺産分割)
- 進行に関する照会回答書(遺産分割)
- 送達場所等届出書
6-2.標準的な添付書類(共通)
- 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 被相続人の子(及びその代襲者)で死亡している方がいる場合は、その子(及びその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 遺産に関する証明書(不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、預貯金通帳の写しまたは残高証明書、有価証券写し等)
6-3.相続人が第二順位(直系尊属)の場合の追加書類
被相続人の直系尊属に死亡している方(相続人と同じ代及び下の代の直系尊属に限る。例:相続人が祖母の場合、父母と祖父)がいる場合、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
※詳しくは管轄の家庭裁判所のHPをご確認ください。
6-4.相続人が配偶者のみ、または第三順位(兄弟姉妹および代襲者)の場合の追加書類
- 被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 被相続人の兄弟姉妹に死亡している方がいる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
- 代襲者としてのおい・めいに死亡している方がいる場合、そのおい・めいの死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
補足:
- 同じ書類は1通で足ります。
- 戸籍等の謄本は、「戸籍等の全部事項証明書」という名称で呼ばれる場合があります。
- 申立前に入手できない戸籍等がある場合は、申立後に追加提出することでも差し支えありません。
- 戸籍等に代えて「法定相続情報一覧図の写し」を提出できる場合があります(申立て先の家庭裁判所にご確認ください)。
- 審理のために必要な場合は、追加書類の提出を求められることがあります。
7.手続の全体的な流れ(実務イメージ)
- 相続人・相続財産の調査 ― 戸籍収集、法定相続情報一覧図の作成、財産目録の作成
- 管轄裁判所の確定 ― 相手方の住所地に基づき、大阪家裁本庁・堺支部・岸和田支部のいずれかを選定(合意管轄の要否検討)
- 申立書・添付書類の作成、収入印紙・郵便切手の準備
- 家庭裁判所への申立て
- 第1回調停期日の指定(申立てから概ね1〜2か月後が目安)
- 調停期日での話合い(原則として月1回程度、複数回にわたる)
- 調停成立の場合 ― 調停調書の作成(確定判決と同一の効力)
- 不成立の場合 ― 自動的に審判手続に移行し、裁判官による審判
8.管轄で失敗しないための実務上のポイント
① 相手方の「現住所」を戸籍附票で確認する
相続人の住民票上の住所と実際の居住地が異なることがあります。正確な住所地を確認したうえで管轄を判断してください。
② 誤って管轄外の家庭裁判所に申し立てた場合
家事事件手続法9条により、原則として管轄裁判所に移送されますが、期日指定までに数か月を要するケースもあり、解決が長期化します。事前確認が重要です。
③ 遺産の所在地は管轄の基準にならない
「不動産が大阪にあるから大阪家裁で」という判断は誤りです。あくまで相手方の住所地を基準に判断してください(合意管轄の場合を除く)。
④ 相手方の住所が海外にある場合
外国に住所を有する相続人がいる場合、家事事件手続法3条の13等により特別な管轄ルールの検討が必要です。
9.大阪で遺産分割調停をご検討の方へ
Leapal法律事務所は、大阪市北区西天満(大阪メトロ谷町線・堺筋線「南森町駅」、JR東西線「大阪天満宮駅」いずれからも徒歩約4分)に事務所を構え、遺言相続法務に注力しております。大阪家庭裁判所本庁はもちろん、堺支部・岸和田支部いずれの管轄事件についても対応可能です。
- 管轄の判定から戸籍収集、財産調査、申立書作成、期日出頭までを一貫してサポート
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- 遺言相続に関するご相談は初回60分無料(要予約、注力分野に限る)
- 所在地:〒530-0047 大阪市北区西天満三丁目5番10号 オフィスポート大阪511
管轄の判断は、申立て後の手続進行や解決までのスピードに直接影響します。「そもそもどこの家庭裁判所に申し立てるべきか」の段階から、ぜひ弁護士にご相談ください。
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参考・出典
- 裁判所|遺産分割調停
- 裁判所|大阪府内の管轄区域表
免責事項:本記事は2026年8月14日時点の公開情報および法令に基づき作成したものです。
実際の申立てにあたっては、必ず最新の裁判所公表情報をご確認いただくか、弁護士等の専門家へご相談ください。
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