【弁護士解説】離婚して子供が大きくなったので旧姓に戻すことはできるか?

婚姻時に氏を変更し、その後離婚した場合、復氏(旧姓に戻る)が原則です。

ただし、離婚の際に、いわゆる「続称」の手続きをした場合には、引き続き婚姻時の苗字を継続して使用することができます。

離婚の際に、婚姻時の苗字を継続する理由は様々ですが、例えば、以下のような理由で婚姻時の苗字を継続する人が多いでしょう

・仕事の関係で苗字を変更したくない
・幼い子供への影響を考えて婚姻時の苗字を維持したい
・職場での名前の認知度を保ちたい
・子供の学校生活に不利益がないようにしたい

この記事では、離婚の際に婚姻時の苗字を継続したけど、子供が自立した等の理由で、旧姓に戻したいと考えられている方に向けて、その方法を解説させて頂きます。

結論としては、家庭裁判所の手続が必要となりますが、旧姓に戻せる可能性があります

以下、詳述させていただきます。

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離婚後に旧姓に戻す手順

離婚の際に婚氏を続称した方が旧姓に戻すための手順は概ね以下のとおりです。

  1. 家庭裁判所に対して氏の変更の申立
  2. 家庭裁判所の許可
  3. 氏の変更届を提出
  4. 氏が変更される

実際の手続きの流れについては、以下の記事で解説をしております。

【弁護士解説】氏(苗字)変更の方法とやむを得ない事由の例とは?

戸籍法107条1項「やむを得ない事由」が必要

旧姓に戻すためには戸籍法107条1項「やむを得ない事由」が認められる必要があります。

◆戸籍法107条1項
やむを得ない事由によつて氏を変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。

やむを得ない事由が認められるためには

通姓に対する愛着などのような主観的事情だけでは足りず、呼称秩序の不変性確保という国家的、社会的利益を犠牲にするに値するほどの客観的必要性が存すること

が必要と考えられています(最高裁昭和59年4月27日判決)

また、旧姓に戻した動機が不当な場合、例えば、債権者から逃れたい等の場合は、当然、不許可となります。

家庭裁判所に申立をする際には、そのような不当な動機がないことをきちんと説明する必要があります。

離婚後、子供が大きくなったから旧姓に戻すことはできるか

離婚の際に婚姻時の氏を継続して称することにした後に、旧姓に戻す場合、以下のパターンに分けて解説させて頂きます。

  1. 婚氏の続称期間が短い場合
  2. 婚氏の続称期間が長い場合
  3. 離婚→再婚→離婚の場合

パターン①婚氏の続称期間が短い場合

婚氏の続称期間が短い場合、婚氏が社会的に定着しているとは言えないことが多く、緩やかに「やむを得ない事由」が認められる傾向にあります。

あくまでも一般的な傾向です。

各家庭裁判所によっても運用が異なることがあり得ますので申立について不安がある方は一度ご相談ください。

パターン②婚氏の続称期間が長い場合

婚氏の続称期間が長い場合、婚氏が社会に定着していると言え、旧姓に戻す社会的弊害がないか慎重に判断されることになります。

このケースでは、

・①なぜ、婚氏続称をしたのか
・②なぜ、このタイミングで旧姓に戻したいのか

これらの理由について具体的に説明する必要が出てくるかと考えます。

①の理由としては、例えば、子供への学校生活における影響を考えて、婚氏を継続した、というのが考えられます。

②の理由としては、例えば、実家に親と同居する、親と同じお墓に入りたい、子供が大きくなった(結婚した、社会的に自立した)等の理由が考えられます。

これらの理由を具体的な事情を基に、説得的に主張する必要があります。

パターン③離婚(婚氏A)→再婚(婚氏B)→離婚(婚氏A)→旧姓Cに戻したい

このケースの場合、旧姓でない期間が多く、また、一度目の離婚の際に婚氏を選択しており、旧姓に戻す必要性が高くないと評価される恐れがあります。

①一度目の離婚の際に旧姓に戻さなかった理由
②現在、氏の変更が必要となる理由

を具体的に説明する必要があると考えます。

最後に

氏は一生ものです。

少しでも旧姓に戻したいという想いがあるのであれば、まずはお気軽にご相談ください。

Leapal法律事務所では、離婚後に旧姓に戻すための相談について、初回60分無料で対応させて頂いております。

また、ご相談方法は以下からご希望をおっしゃてください。

・対面
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さらに、Leapal法律事務所では、「離婚後に旧姓に戻すためのご相談」について全国対応をしております。

また、弊所では、特別な事情がない限り、着手金10万円(税別)、報酬金20万円(税別)で対応をさせて頂いております。

是非、一度、ご相談ください。

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弁護士 山村真吾

弁護士 山村真吾

・ベンチャー精神を基に何事にもフレキシブルに創造性高く挑戦し、個々の依頼者のニーズを深く理解し、最適な解決策を共に模索します。|IT、インターネットビジネス、コンテンツビジネスに精通しており、各種消費者関連法、広告・キャンペーン等のマーケティング販促法務や新規サービスのリーガルチェックを得意とします。|一部上場企業から小規模事業まで幅広い業態から、日常的に契約書レビューや、職場トラブルや定時株主総会の運営サポート等の法的問題に対応した経験から、ビジネスと法律の橋渡し役として、法的アドバイスを行います。|その他マンション管理案件、氏の変更、離婚、遺言相続、交通事故等の一般民事案件にも精力的に取り組んでいます。

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