親が亡くなった後、しばらく経ってから大阪市内の銀行や信販会社、消費者金融といった金融機関から、突然「督促状」や「請求書」が届き、驚かれる方は少なくありません。
「親に借金があったなんて知らなかった」「相続の手続きはもう終わったと思っていた」というケースも多く見られます。
このような通知が届いた場合、まず検討すべきなのが相続放棄をするかどうかという問題です。
この記事では、督促通知が届いた際の初動対応と、相続放棄を判断するうえでのポイントを解説します。
1. 督促通知が届いたらまず確認すべきこと
督促通知を受け取ったら、慌てて支払わず、まず以下の点を確認しましょう。
- 通知の内容:誰宛の、いつの借入に関する請求か、金額や利息・遅延損害金の内訳
- 相続人の範囲:自分以外に他の相続人(兄弟姉妹・配偶者など)がいるか
- 相続開始(死亡)からの経過期間:相続放棄には期限があるため、日数の把握が重要
- 他の資産・負債の有無:預貯金、不動産、他の借入れなど、プラス・マイナス双方の財産状況
特に重要なのは、安易に一部でも支払いをしてしまわないことです。
督促に応じて少額でも返済してしまうと、「単純承認」とみなされ、後から相続放棄ができなくなる可能性があります。
2. 相続放棄とは
相続放棄とは、被相続人(亡くなった親)の権利義務を一切受け継がないとする手続きで、家庭裁判所に申述して行います。
相続放棄が認められると、プラスの財産(預貯金や不動産)を受け取れなくなる代わりに、借金などのマイナスの財産(債務)も一切引き継がなくてよくなります。
督促通知にあるような借入債務は、相続開始と同時に相続人へ承継されるのが原則です。
したがって、借金の存在が明らかになった場合、相続放棄をするかどうかを速やかに検討する必要があります。
3. 相続放棄をすべきか判断するポイント
(1) 借金の総額とプラス財産のバランス
督促のあった借入金だけでなく、他に隠れた負債がないかを調査したうえで、預貯金や不動産などのプラス財産と比較します。負債超過が明らかであれば、相続放棄が有力な選択肢となります。
(2) 熟慮期間(3か月)に注意
相続放棄は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内(熟慮期間)に家庭裁判所へ申述しなければならないのが原則です。督促通知を受け取った時点で、この期間がすでに経過しかけている、あるいは経過してしまっているケースもあります。
ただし、督促通知によって初めて借金の存在を知ったような場合には、その事実を知った時から改めて3か月の熟慮期間が起算されると判断される余地もあります。この点は個別の事情によって判断が分かれるため、専門家への早期相談が重要です。
(3) 他の相続人への影響
自分が相続放棄をすると、その相続分は他の相続人(次順位の相続人を含む)に移ります。たとえば子が全員相続放棄をすると、次は被相続人の親、それも放棄されれば兄弟姉妹へと相続権が移っていきます。
督促を無視したまま放置すると、事情を知らない親族に思わぬ形で借金の督促が及ぶこともあるため、放棄を検討する際は親族間での情報共有も大切です。
(4) 一部の相続財産に手をつけていないか
すでに預貯金を解約して使ってしまった、遺品の中から高価なものを売却したなど、相続財産を処分する行為をしていると、単純承認とみなされ相続放棄が認められなくなる可能性があります。
督促通知が届いた後の対応はもちろん、それ以前の行動も含めて振り返る必要があります。
4. 相続放棄をしない場合の選択肢
負債よりプラス財産が多い場合や、財産の内容が不明で判断がつかない場合には、次のような選択肢もあります。
- 単純承認:プラス・マイナス双方の財産をすべて承継する
- 限定承認:相続によって得た財産の限度内でのみ債務を弁済する、相続人全員で行う必要がある手続き
どの方法を選ぶべきかは、財産調査の結果や相続人間の状況によって異なるため、専門家に相談しながら見極めることが望ましいでしょう。
5. 督促を放置するリスク
督促通知を無視していると、金融機関から訴訟を提起されたり、財産の差押えを受けたりするおそれがあります。また、相続放棄を検討する場合でも、熟慮期間内に必要な手続きを取らなければ単純承認したものとみなされてしまいます。
督促状が届いた時点で、放置せず速やかに次の対応を検討することが重要です。
まとめ
- 督促通知が届いても、慌てて支払わず、まず相続財産・債務の全体像を確認する
- 相続放棄には原則3か月の熟慮期間があり、期限管理が非常に重要
- 一部でも支払いや財産処分をすると、相続放棄ができなくなる可能性がある
- 他の相続人への影響も考慮したうえで判断する必要がある
亡くなった親の借金に関する督促通知は、対応を誤ると取り返しのつかない結果につながることがあります。できるだけ早い段階で、専門家に相談し、正確な情報に基づいて相続放棄をするかどうかを判断することをお勧めします。
相続放棄のご相談は当事務所へ
当事務所では、大阪市内をはじめ、突然届いた金融機関からの督促通知をきっかけとした相続放棄のご相談を、これまで多数取り扱ってまいりました。熟慮期間が迫っているケースや、すでに督促に一部対応してしまったケースなど、難しい状況にあるご相談についても、これまでの経験を踏まえて対応方針をご提案いたします。
「督促状が届いたが、どうすればよいか分からない」「相続放棄をすべきか判断がつかない」という方は、お一人で悩まず、お早めにご相談ください。
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