相続が発生した際、遺産の中でも特に揉めやすいのが「実家」の扱いです。
現金や預貯金であれば単純に分割できますが、実家は簡単に分けることができない不動産であるため、相続人間で意見が対立しやすい典型的な財産といえます。
特に大阪市内は地価が比較的高く、実家の資産価値が相続全体に占める割合が大きくなりやすいことから、相続トラブルに発展するケースが少なくありません。本記事では、大阪市内の実家の相続が揉める代表的な理由について解説します。
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実家を残すか、売却するかで意見が対立する
実家の相続でまず問題となりやすいのが、「実家をそのまま残すべきか、売却して現金化すべきか」という方針の対立です。
たとえば、被相続人と同居していた相続人は、これまで暮らしてきた家に思い入れがあり、住み続けたいという希望を持つことが多いでしょう。仏壇や先祖代々のお墓を守る役割を担っている場合には、実家を手放すことに強い抵抗を感じることもあります。一方で、既に別の場所に生活基盤を持つ相続人にとっては、実家は単なる資産の一つに過ぎず、維持管理の手間や固定資産税の負担を避けるためにも、早期に売却して現金で分けた方が公平だと考えることが少なくありません。
大阪市内は交通の便が良く、不動産としての流動性が高い地域が多いため、「売却すればまとまった現金が得られる」という点も、売却を希望する相続人の意見を後押しする要因となります。反対に、実家に居住し続けたい相続人にとっては、売却によって住む場所を失うという切実な問題であり、双方の主張には正当な理由があるため、話し合いが平行線をたどりやすいのです。
このような対立は、単に「感情」の問題として片付けられるものではなく、それぞれの相続人の生活設計や将来計画に直結する重要な問題であるため、時間をかけた丁寧な話し合いが必要となります。
遺産分割が成立するまでの固定資産税等の管理費用を誰が負担するのか
実家の相続でしばしば見落とされがちなのが、遺産分割が成立するまでの間に発生する固定資産税や都市計画税、火災保険料、修繕費、庭木の手入れ費用といった「管理費用」を誰が負担するのかという問題です。
遺産分割協議や調停が長期化すると、実家が空き家の状態のまま数年間放置されることも珍しくありません。その間も固定資産税の納税義務は発生し続けますし、老朽化を防ぐための最低限の管理も必要です。大阪市内の不動産は評価額が比較的高いため、固定資産税の負担も相応の金額になり、これを一人の相続人が立て替え続けることは大きな負担となります。
法律上、遺産分割が成立するまでの間、不動産は相続人全員の共有状態にあるとされ、管理費用についても本来は相続人全員で分担すべきものです。しかし、実際には「実家に住んでいる相続人が負担すべきだ」「いや、共有財産である以上、全員で等分すべきだ」といった意見の相違が生じやすく、この費用負担の問題だけで相続人間の関係が悪化してしまうケースも見受けられます。
また、誰かが立て替えて支払った管理費用について、最終的な遺産分割の際にどのように精算するのかというルールが明確でないまま話し合いが進んでしまうと、後になって「あの時払った固定資産税を返してほしい」といった新たな争点が浮上し、さらに解決までの時間が長引く原因にもなります。
誰かが取得する際の実家の評価額
相続人のうち誰か一人が実家を取得し、他の相続人に対して代わりに金銭を支払う「代償分割」という方法が選択される場合、実家の評価額をいくらとするかが大きな争点となります。
不動産の評価方法には、固定資産税評価額、相続税路線価に基づく評価額、そして不動産業者による査定額や不動産鑑定士による鑑定評価額など、複数の基準が存在し、それぞれ算出される金額に差が生じます。
一般的に、固定資産税評価額や路線価による評価額は、実勢価格(実際に市場で取引される価格)よりも低めに算出される傾向があるため、実家を取得する相続人は低い評価額を、実家を取得せず代償金を受け取る相続人は高い評価額を主張しやすい構造になっています。
大阪市内は地域によって地価の変動が大きく、駅からの距離や周辺の再開発状況によって不動産価格が大きく左右されるため、どの評価方法を採用するかによって数百万円単位の差が生じることも珍しくありません。この評価額の食い違いは、相続人間の信頼関係を損なう大きな要因となり、感情的な対立に発展しやすいポイントの一つです。
適正な評価額について合意できない場合には、不動産鑑定士による鑑定を実施し、客観的な評価額を確定させたうえで話し合いを進める必要が生じることもあります。
誰かが取得する際に代償金が準備できない
実家を取得する相続人が他の相続人に対して代償金を支払う代償分割の方法を選択したとしても、そもそも代償金として支払うだけの資金を用意できないという問題が生じることがあります。
実家を取得したい相続人が十分な預貯金や収入を持っていない場合、他の相続人が納得できる金額の代償金を一括で用意することは容易ではありません。特に大阪市内の不動産は評価額が高くなりやすいため、法定相続分に応じた代償金の額も高額になりやすく、住宅ローンなどの借入を利用しなければ支払えないケースも少なくありません。しかし、金融機関からの借入には審査があり、必ずしも希望どおりの融資を受けられるとは限りません。
代償金を準備できない場合、実家の取得自体を断念せざるを得なくなったり、分割払いによる代償金の支払いを提案せざるを得なくなったりすることがあります。分割払いの場合、支払いが完了するまでの間、支払う側・受け取る側の双方に不安が残り、将来的な未払いのリスクをめぐって新たな対立が生じることもあります。
このように、代償金の準備という資金面の問題は、実家をめぐる相続争いを長期化させる大きな要因の一つとなっています。実家の取得を希望する場合には、早い段階から資金調達の見通しを立てておくことが、円滑な遺産分割の実現につながります。
まとめ
大阪市内の実家の相続が揉める背景には、実家を残すか売却するかという根本的な方針の対立に加え、管理費用の負担、評価額の算定方法、そして代償金の資金調達という、それぞれ性質の異なる問題が複雑に絡み合っています。
これらの問題は、いずれも法的な知識や客観的な資料に基づいた冷静な話し合いが必要となる場面が多く、相続人だけでの解決が難しい場合には、早めに専門家へ相談することが円満な解決への近道となります。
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